• 藤井谷の不思議の国

    家の主人は東からやってきて、数年住んでまた東へ帰って行った。その数年の間に設置された日本の七人の神々と西洋の七人の小人、そして動物から果物に至る八百万の神たち。主人の帰還を待ちながら、雨の日も風の日も黙って空の家を守り続ける雄姿に見惚れる。北谷地区藤井谷のワンダーランド。

  • 古いマッチ箱(鳥取・米子・琴浦・湯梨浜・関金編)
     
    鳥取市
    1. ハトヤ
    2. モンブラン
    3. 割烹 さつき
    4. いなば荘
    5. しいたけ会館 対翠閣
    6. アベ鳥取堂
    7. 割烹 橋本屋
    8. 御料理 初春
    9. 森田かばん店
    15. Hotel New Inaba

    米子市
    10. 森屋旅館
    11. 松風閣
    12. 皆生温泉クラブ 松浦酒店

    琴浦
    13. 黒田酒店(浦安)
    14. 原酒造株式会社(八橋)
    16. 御料理 仕出し みつもと(赤崎)

    湯梨浜
    17. 旅館 羽合聚楽(羽合・浅津温泉)
    18. 22. 内湯旅館 鶴乃湯(東郷)
    19. 内湯旅館 松乃屋(東郷)
    20. 河本魚店(東郷)
    21. 休養センター 湖畔荘(羽合・浅津温泉)
    23. 国民宿舎 水明荘(東郷)

    関金
    24. 鳥飼旅館

    その他
    25. 山陰合同銀行
    26. 27. 鳥取銀行
    28. 29. 郵便貯金

    協力:徳永淳子

  • 古いマッチ箱(倉吉の生活用品店編)
     
    1. レコード 三響
    2. 靴と鞄 タカタ
    3. 4. 柿本商店
    5. 6. 大井証券
    7. 小林薬局(倉吉駅前)
    8. 河本蘇生堂薬局
    9. 湊屋石油店
    10. 三菱石油 南倉吉給油所
    11. 貝印灯油(シエル倉吉サービスステーシヨン)
    12. 第一プロパン 津村商会
    13. ハヤシ電気
    14. 15. 16. 17. 五光商会

    協力:徳永淳子

  • 古いマッチ箱(倉吉の飲食店編)
     
    かつて生活に欠かせないもののひとつがマッチだった。ストーブをつけるにも煙草をふかすにもマッチは必要だった。それだけ生活に浸透していたからこそ、広告としても大きな役割を果たしていた。各店舗は洒落たデザインと洒落たキャッチコピーのマッチ箱を競ってお客のポケットに忍ばせた。今の生活の中でマッチを擦る機会がどれだけ残っているだろうか。仏壇にももうその姿はないかもしれない。それに伴うように多くのお店がマッチ箱だけを残して消えていった。もうないお店、もうない地名、続いているお店。マッチ箱ひとつから立ち昇る町の悲喜こもごもをどうぞ。
     
    1. 食堂 一春(八屋家畜市場横)
    2. レストラン ナショナル会館
    3. 鉄板料理 月ヶ瀬
    4. 西倉吉ボウル
    5. 割烹旅館 さびや(山陰線あげい)
    6. 和風レストラン 山陰
    7. スタンド マリ
    8. 喫茶 和光
    9. ホルモン料理専門店 萬花楼(倉吉有楽街)
    10. 大衆食堂 お好み焼き とみや(畜産市場入口)
    11. 御料理 仕出し 叶井
    12. 大和百貨店食堂(喫茶上階)
    13. 中華料理 蓬莱軒
    14. 御料理 つるや(警察署隣)
    15. 仕出し 鮮魚 よしだ屋
    16. 仕出し 御料理 しばや
    17. 高田酒造株式会社 此君
    18. かどや 日名酒店
    19. 山根酒店
    20. 松原旅館(家畜市場内)
    21. 旅館 まきた

    協力:徳永淳子

  • 空中庭園
     
    アパート暮らしにも見切りをつけて、郊外に庭付き一軒家を建てて老後はイングリッシュガーデンに友人を招いてアフタヌーンティーを。というのは何も都会暮らしの人だけが見る夢ではない。地方の旧市街でも庭つき一軒家の夢は同じである。路地が入り組み肩寄せ合う家々の隙間にひと鉢でも置ける空間を見い出せば、たとえ橋の上でも屋根の上でもそこは庭になる。そして路地の庭は縦を志向して地上を離れ空を目指す。いついかなる場所に暮らしても、私たちには庭が必要だ。

  • 八幡町のヘッドピン
     
    八幡神社のお膝元、倉吉市八幡町の住宅地に突如現れるのは巨大なボウリングのピン。かつてあった西倉吉ボウルというボウリング場の閉店の際に、このお宅のご主人が譲り受けたという。ピンだけでも十分な衝撃だが、近づいてみると中には何と観音様が鎮座しておられる。ご主人が仕事中に屋根から落下した時も、この観音様のおかげで助かった。以来、供物が欠かされることはない。誰も倒すことのできないヘッドピンがここにある。

  • 鉢屋川の水上都市
     
    地面には地籍があるが空中に空籍なるものがあるのだろうか。そんなことをふと考えてしまう建物が倉吉市の鉢屋川の水上に建ち並んでいる。増築された四角い箱は力学を計算し尽くされたジェンガのような土台の上に物怖じせず建ち、日々の営みを支えている。いつまでも続いてほしい町並みであるどころか、日本のヴェニスに認定される日は遠くない。

  • 古い若い女たち
     
    倉吉市の空き家に遺棄されていたアルバムから発掘した写真より。
     
    1. 1937年3月
    2. 1940年1月23日
    3. 不明
    4. 不明
    5. 1940年11月5日
    6. 1939年11月20日
    7. 不明
    8. 1944年2月
    9. 1934年2月 14歳 倉吉高等女学校第一学年
    10. 1934年3月 17歳 倉吉高等女学校卒業
    11. 1959年5月19日
    12. 1939年7月25日 和歌浦堤防で
    13. 不明
    14. 1944年8月14日
    15. 1956年11月16日 三朝にて
    16. 1941年6月1日
    17. 不明
    18. 3月10日 R・J・R横濱支部
    19. 1940年1月3日 御茶会
    20. 1934年 倉吉高等女学校第二学年一組 奉安殿の横にて
    21. 1940年5月26日 御茶会
    22. 1934年1月10日 広島女子専門學校新校舎入校式
    23. 倉吉高等女学校第三学年三組(英語組)
    24. 不明

  • 余戸谷町の誰のものでもない土地
     
    倉吉市余戸谷町にあるT邸の裏にはかつて用水路があった。この一帯が田畑だった頃に作られ、それは私の土地とあなたの土地を分ける境界線の役割も果たしていた。やがて田畑は住宅に変わり水路が埋められると、そこには目に見えない境界線だけが残った。どちらも所有権を主張しなかったせいか、1年前に地籍調査が入るまでの数十年間「誰のものでもない土地」がここには存在していた。長年裏口として利用していたT家に所有権が与えられたが、隣家と領土をめぐる問題は一度も起きていない。

  • 天神川河口の真鴨
     
    倉吉市の中心を流れる天神川は、北栄町と湯梨浜町の境を抜けて日本海へと注ぎ出る。夕方になるとその河口に真鴨の群れが羽根を休めにやってくる。群れは大きな円を描くようにゆっくり反時計回りに周回している。時折羽ばたき、じゃれ合うものもいる。いつも土手を散歩しているという夫婦によると、もっとたくさんいる日もあるそうだ。ぶつかることなく優雅に周遊する様子は、個と全体の調和が見事にとれていていつまでも見とれてしまう。

  • 不思議の国
     
    ここでは人種、国籍、性別の垣根は取り払われ、あらゆる種族(怪物も神も人工知能も)、捕食者と被食者、時には知られていない新種や変種も共生している。あるものは脅かされることなく孤独にひっそりと、あるものは仲間と賑やかに。この小さな世界の創造主のそんな願いが伺える、誰もが平等に住まう権利を与えられた奇跡の楽園。
     
    1.倉吉市鍛冶町
    2.倉吉市越殿町
    3.倉吉市鍛冶町
    4.東伯郡湯梨浜町久留
    5.鳥取市気高町八束水

  • 八橋往来の御柱
     
    奈良時代から倉吉と八橋を結んでいた八橋往来と呼ばれる街道の、倉吉市越中町から西岩倉町にかけて突然現れたのは半分に切られた6本の電柱。長野県諏訪地方の御柱祭かと目を疑ったが、老朽化のため新しくする工事の途中だという。街道の風情を残す町並みと産業遺産に片足を突っ込んでいる半電柱の組み合わせが、今に至る時代の層を表している。数日後には姿を消すというが、ぜひ現代の巨石遺跡として後世まで残してもらいたい。

  • 倉吉のブルーシート
     
    2016年10月21日午後2時7分、鳥取県中部で震度6弱(M6.6)の地震が発生した。死者はなく人災は少なかったものの、倉吉市の旧市街地に残る古い家屋が崩れる被害が出た。間もなくブルーシートが張られ、応急処置が施された。2016年12月、撮影時の町にはいつものゆるやかな時間が流れていた。しかし見上げると青い屋根が広がっている。被災後の町にはもろさとたくましさの両方がある。2017年2月現在、復旧は少しずつ進んでいるがブルーシートの数に大きな変化は見られない。

  • 八束水のパステル断面
     
    青谷羽合道路の起点、鳥取市気高町八束水の交差点から高架をくぐり一般道路へ進むと姫路地区と呼ばれる集落がある。ここは1989年に土地改良が始まり山の一部が削り取られて農道が敷かれ、沼の水が抜かれて田畑が作られた。1992年に工事が完了した後も削り取られた断面は保護されず、地層がむき出しになっている。断面はとても頑丈かつ滑らかで様々なパステルのような石で彩られている。集落の住民によれば、冬になると断面に霜が降り、その度に表面を洗っているためだと言う。また水を抜いた沼の底から、樹齢数百年になる巨大な松の埋れ木が現れたという逸話も残っている。

PRESENT POINT PROJECT / 現時点プロジェクト

映像作家の波田野州平を中心に結成された記録集団「現時点プロジェクト」が、鳥取県の各地を巡って観光案内では紹介されない(されるはずのない)場所や物事を発見し、映像でレポートを提出します。日々の視界を少しだけ広くする報告書。お忙しい1日の隙間にご覧ください。

撮影・編集・テキスト:波田野州平
タイトルアニメーション:池口玄訓